「お前、嵐山が好きなのか?」
ぼんやりしている千景ではなく、武者小路が将臣にその真意を問いただそうとした。
少し考えた将臣は、
「……いや」
と答える。
いやって……。
じゃあ、何故、プロポーズしてきましたか。
まあ、今までにも好きとかいう気配は感じたこともありませんでしたけどね、と思う千景に将臣が言う。
「お前と結婚するのが、ちょうどいい気がしてきたから」
ありもしない愛を語れとは言わないが。
もうちょっとなにか包み隠して欲しい、と思いながら、千景は言った。
「……社長、やっぱり、早百合さんと親子ですよね」
そんな千景に向かい、将臣は仕事の上での話し合いのような口調で言いはじめた。
「お前にプロポーズした理由は三つだ。
ひとつめは、あのめんどくさい母親と気が合いそうだ。
ふたつめは、お前と結婚すれば、九条真実との結婚話が進まなくていい。
みっつめは、お前と結婚すれば、一緒にタクシーで来ても、誰もごちゃごちゃ言わない」
指折り数えながら言う将臣に、
……いや、最初のふたつはともかく、みっつめはなんなんですか、と千景は思う。



