社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

「いや、見ろよ」

「でも、探している、最後の一匹の猫ちゃんかもしれませんっ」

「いや、お前が見た黒猫だ。
 黒は二匹はいないぞ」

 っていうか、どんだけ俺と結婚したくないんだ……と思ってしまった。

 思わず、黒猫を抱いて千景の側まで行き、その顔に貼り付けように寄せる。

 千景は猫に頭によじ登られ、ぎゃーっ、と叫びながらだが、喜んでいた。