社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

 


 遊びに出てればいいなと思っていたが、母親は家にいた。

 千景を歓迎する。

「まあ、こんなこと初めてよ。
 ドキドキするわ。

 将臣が女の子を家に連れてくるだなんて」

「……こいつの目的は俺じゃなくて、猫なんだが」
と将臣は言ったが、聞いていない。

 そして、千景も聞いていない。

 母親と猫談義に突入し、盛り上がっている。

「そうなの。
 みんな拾った猫なのよ。

 だって、みんな私を見て言うの。
 一緒に暮らしましょう、ご主人様って」
と身を乗り出し、母は珍しく熱く語っている。

 聞きようによってはいい話なのだが。

 ご主人様ってなんだ……。

 猫まであんたに媚びへつらってんのか、と将臣は女王様気質の母、早百合(さゆり)を見た。