社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

「まあ、ちょうどよかった。
 もうすぐ終わるから、編纂室で待ってろ」

 はい、と千景は頷き、行ってしまう。

 ……待てよ。
 今、待ってろって言わずに連絡先訊いてみてもよかったんじゃないか、と思ったとき、こちらを見ていた八十島に言われた。

「社長。
 今、嵐山に連絡先をさりげなく訊くチャンスだったのではないですか?」

「別に……。
 俺は嵐山の連絡先を知りたいとかないからな」

「そうなんですか。
 まあ、私は知ってますけどね」

 淡々と言う八十島を将臣は、えっ? と見る。