社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

「まあ、預かるが。
 今度からこういうときは俺に連絡してこい」
と言われる。

「でも、八十島さんに内線かけて、八十島さんがいなかったら、他の秘書の方が出られますよね?」

 どきどきしますね、と千景はおそろしいお局様を思い浮かべ、緊張する。

「八十島さん」
「なんだ」

「八十島さんの住所と電話番号教えてくださいませんか?」

「……お前もか」

 っていうか、住所はいらないだろうが、と言われたが、まあ、なんとなく言葉の弾みだ。