社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

「武者小路さんと席近いんでしょっ?
 痩せさせなさいよっ」

 そんな無茶なっ。

「家族より長い時間一緒にいるんだから、可能でしょっ」

 いや、そんな莫迦なっ、と千景は思ったが、

「まあ、家族とより、職場の席近い人の方が長くいるのは確かよね」
と坂巻も頷く。

「でも私が武者小路さんゲットする前に、完全に痩せさせるのはなしよ。
 直前で止めてっ。

 大量の敵が現れる前に、ゲットしておかなければっ」

 いや、どうやって、痩せさせたり、途中で止めたりするんですか……。

 律子たちの分も自腹で菓子代を払っておごり、社長室に向かう。

 でも、いきなり社長室に訪ねていくわけにはいかないよな~、と思ったとき、人気のない、しんとした広い廊下で八十島と出会った。

「八十島さんっ」