社長っ、このタクシーは譲れませんっ!




「千景っ。
 買えたわっ。

 車、早くっ」

 昼休み。
 律子に叫ばれ、千景はとめようとしていた駐車場で車を回転させ、入り口まで戻る。

 紙袋を幾つも抱えた律子が慌てて乗ってきた。

 他の車の邪魔にならないよう、急いで発進させながら、千景は言った。

「きょ、今日こそ、おごりますねっ、真柳さん」

 息を切らして、当たり前よっ、と律子は言う。

 すみません、真柳さん……。

 今日買いに来たこの店の駐車場が狭かったので、また律子が買いに行き、千景と坂巻は車で待機していたのだ。

「どうして、何処も美味しい店は店舗が小さくて。
 駐車場もなかったり狭かったりなんですかね?」

「そんなこといいから。
 あんたっ、私への礼に、武者小路さん痩せさせなさいよっ」

 ガッと運転席の背をつかみ、律子は、そんなことを言ってくる。

 ええっ? と思う千景に律子は言った。