社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

 前倉の方を見てお辞儀をしたあとで、こちらに向かい、
「嵐山……」
と呼びかけようとした将臣だったが。

 向かいの武者小路をマジマジと見、驚いた顔をする。

「武者小路かっ」

「……慣れろ、太った俺に」
と素っ気なく武者小路は言う。

 慣れろということは、もう痩せる気はないのだろうかな。

『痩せないかな、武者小路さんっ』
と浮かれた様子で言っていた律子の言葉を思い出したとき、将臣が千景を見下ろし言った。

「いや、嵐山に用があって」