社長っ、このタクシーは譲れませんっ!

「私は将臣様のおじいさまのお宅にも伺ったことがあるのよ。
 おじいさまも、とてもよくしてくださったわ」

 ほほほほ、と九条真実は笑う。

 そこで、千景は気がついた。

「私、社長のおじいさまのおうちどころか。
 社長のご自宅が何処なのかすら知りません」

 あれだけ一緒に通勤しているのに、家も知らないというのが、なんだかおかしく、ちょっと笑いかけたとき、真実が言った。

「あらあら、信頼されてらっしゃらないのね」

 そこで、なんとなく訊いてみた。

「そういえば、社長のおうちって何処なんですか?」

「え?」