社長っ、このタクシーは譲れませんっ!




 千景はそのまま将臣に送ってもらう。

 八十島に、
「あの世に行く気か」
と罵られたヘブンズハウスに向かいながら、千景は言った。

「今日はいろいろありがとうございました、社長。
 お礼に仏をお見せしましょうか?」

「……それ、どの辺がお礼なんだ?」
と将臣はもっともなことを言ったあとで、少し考え、

「それはもしや、家に上がれと誘ってるのか?」
と訊いてくる。

 それを聞いた千景は、ああ、家に上がるのがめんどくさいのか。

 まあ、さっき、靴履いたばっかりだもんな。

 また脱いだり履いたりめんどくさいよな、と思った千景は、

「ああ、じゃあ、持って下りてきましょうか? 仏」
と言った。

「……なにが、ああ、じゃあなんだ」
と何故か将臣が顔をしかめる。