『史郎さんへ

庭の沈丁花(じんちょうげ)が見事に咲いています。

春が来たんだな、と実感します。



いつだったか正代が沈丁花の花言葉を教えてくれたのですが、時が経った今ではすっかり忘れてしまいました。

こういう時は忘れっぽくなったことを、残念に思います。

でも昔のことはよく覚えています、不思議ですね。



例えば史郎さんに初めて貰った花束。

原っぱに咲いているたんぽぽにリボンをつけた花束でしたね。

しばらく部屋に飾っていました。

史郎さんがたんぽぽを摘んでいる姿を想像すると、あの時も今も、心にあたたかいぬくもりを感じます。



今でも道でたんぽぽを見かけると、あの花束を思い出します。

時子より』



『時子へ

携帯電話を使って、インターネットで沈丁花の花言葉を調べてみました。

「栄光」や「勝利」などの他に、「不滅」と書いてあるページも見つけました。

正代は一時期、花言葉に詳しかったですね。