酔いつぶれたと思っているわたしの耳元で優しい声をした誰かが囁いた。
きっと今の身体を見ると、事実を受け止められなくなるから瞳は閉じたままで話を聞いてほしいと言われる。

声がとても優しく、しかし、目を瞑っていてもわかるくらい気配は冷たい女性の声だった。

(わたくし)は、ルナムーンという月の神です。貴女の人生を今までの記憶が残った状態で、たった1度だけやり直す事を許します。」

え?
待って。
どういうこと?

・・・死んだ?

「貴女は泥酔するまで飲酒し、階段から足を滑らせ、頭を打って死亡しました。」

めっちゃ哀れな死に方なの、恥ずかしい。

「今世は悲しい試練に耐え抜く定めだったようです。神は乗り越えられる者にしか試練を与えないと言われているようですが、人間の迷信でしかありません。ウーニウェルスム神は意地悪な神です。」

ウ?・・・ウーニ?
ウェルスミス・・・?

「貴女の今世の一生は25という数字で終了すると約束されていました。遅かれ早かれ26になる前には亡くなっていたでことでしょう。しかし、今世で清算しなければいけないカルマは1つとして全う出来ていません。」

スピリチュアルは母親が好きだったから、カルマって言葉は知っていた。
1つも全う出来てなかったんだ・・・そんな気はしていたけど、いざ言われると、かなり悔しいな。

・・・ちなみにわたしのカルマは何個あったんですか?

108(ひゃくやっつ)つです。」

・・・108つ!??

「ちなみにカルマは「業」(ごう)と言い、一番分かりやすい仏教的には「行い」を意味しています。前世から今世に持ってきた因果関係のようなものであり、前世での「思い」や「行い」は、一つの人生の記録として魂の奥底まで深く刻みこまれ、今世でのその人の性格や傾向、役割などを作り出すと言われています。カルマは一部の人が持つものではなく、この世のすべての人が、例外なくカルマを持ち、ウニの生命の力によって生まれてきています。未達成のまま天界へ向かうことになると、またウニのいたずらによって、苦しい試練を持って人間界へ送り返されることになります。今世で学んだ苦しみや悲しみは消し取られている為、学びがないまま、輪廻転生し、貴女は永遠に同じカルマの苦しみに縛られながら、貴女として人間界で貸してもらっている身体を傷つけ続けることになります。」