桜子のケータイが鳴る。タケルだった。


「タケル、どうしたの?」


「桜子、僕達の事が週刊誌にのってるよ。」


「ほんと?超ウケるね。私達同じ事務所だし、売れない頃から知ってるしね。同じ所をめざす同志みたいなもんだし。」


「ああ、でも世間はそんな風にみないよ。これからちょっと大変かも。私生活に注意するんだね。」


「何よ、えらそうに。わかってるわ。」


桜子は頭にきて電話を切った。

まったくタケルの奴、いつもえらそうにさ。ああ、超ムカつく。


桜子は、テレビをつけた。

今日は撮影は夜からだし…ゆっくりやすもう。

テレビではワイドショーをやっていた。
次は芸能ニュースだった。
そして桜子は、目を疑った。

「何?これって…。」


そこに写っていたのは、まさに自分の故郷だった。
レポーターはマイクを持って歩くと、やがて桜子が生まれ育った家の前に立った。