でもまあ、普通に言いたいことはあるって感じで。
彼氏へ。
「わたしの爪と皮膚はしおりにしないでください」
「……どうしても、だめ?」
「うっ、…………だめ、です」
揺らいだ。揺らぎまくって間があいた。
友に、弱いな、とわらわれる。
いいんだよ、もう。それがわたしたちらしいんだから。それにわたしたち、自他ともに認めるお似合いカップルなんだから。
「だめかあ……」
また、わんこのごとくしゅんとしてる。めちゃくちゃかわいいと思うのに、この感情が激重、なんだって。
「だめ、とは言ったけど、爪切ってくれるの自体はだめじゃない」
「っ、ほんと?」
「うん、ほんと」
あまいね、と友に小突かれる。かわいいでしょ、と小突き返すと、うーん? と首をかしげられた。
世間一般的にいうかわいいの基準が、やっぱりわからないなと首をかしげて応答する。
それでももう、開き直ることにした。



