彼氏へ。わたしの爪と皮膚はしおりにしないでください。




そりゃあ、こいつの全部が無理! な状態になってるときに、絶対いやだ、別れない、って言われたら嫌になるのかもしれないけど、でもいまはわたし星畑のことが大好きだし、別れる気なんてさらさらないし、なんだったら別れ話の切り出しなんて1ミリたりともしていないんですが?



「今後はそうするとしても、いまはできない。これが恋人としての久野との最後の会話になるわけだから、録画して録音してそれで気が済むかわからない」

「新手のへんたい?」

「……そんなことは」

「なにその間」



よかった、ような何もよくないような。



友へ。わたしの彼氏はここまできました。



「えーと、久野サン、お話はなんでしょうか」



あ、こいつ話題そらした。ずるい。



「……ずっと言いたかった、こと、なんだけど」



ずるいけれど、これに便乗しなければ一生言えない気がするので、言う。