彼氏へ。わたしの爪と皮膚はしおりにしないでください。




いまだに、言わなかったこと、少しだけ後悔してたりするんだ。言いたかったなって思ってたりも、してるんだ。



あれから何度も、直前で確認をうけてのキスを重ねてきた。



それ自体を直してほしいとは思わない。だって、思い出したようにあわてて許可をとってくるの、かわいいなあなんて思うもん。



そりゃあ、聞くことなくスマートにしてくれたらかっこよ……!! ってなってめちゃめちゃドキドキするんだろうけど、いまはかわいいを堪能できて嬉しいといいますか。



じゃあ何を、って、キスのたびに何を思い出してしまって苦い思い出と化しているか、っていうと。



「星畑に、ずっと言いたかったんだけど」

「え、何? 別れ話?」

「ちが、……ちがうけど、なんで受け入れ態勢なわけ? それはちょっとムカつく。なに、わたしが別れてって言ったら、はいわかりました、で別れんの?」

「そのほうがいいなら今後はそうするけど」

「は?」



なにそれ。それはそれでちょっといやなんだけど。