明日のことを考えると眠れず、白々と夜が明けてしまった。

俺はまりえさんを迎えに小出家に向かった。

玄関で小出氏と挨拶をした。

「今日はすまんな、まりえのわがままを聞いてもらって感謝するよ」

「いえ、自分がお供しますと言ったんですから……」

「よろしく頼むよ」

私はウキウキして、支度に時間がかかってしまった。

「真山さん、お待たせ」

「それでは一日まりえさんをお預かりします」

「お父様、行って参ります」

「ああ、行っておいで」

真山さんは私を助手席にエスコートしてくれた。

「まりえさん、シートベルトを閉めてください」

「あ、シートベルトね」

私はやっぱり出来ずに、真山さんにやってもらおうとお願いした。

「やってくれる?」

「はい、失礼します」

また、真山さんと顔が急接近した。

もし、真山さんがキスしてくれたら私は素直に受け入れちゃうだろう。

違う、キスしてほしい。

でも真山さんはシートベルトをしてくれたら私から離れた。