「はい、どこかお出かけですか」

別に出かける用事はないけど……

「車出しましょうか」

「えっ、本当に」

「はい」

真山さんに会えるの?嘘、本当に?

「何時にお迎えに行けばよろしいでしょうか」

「それでは十時にお願い」

「かしこまりました」

でもこれって仕事じゃないよね。

お父様との契約は切れているはずだもの。

「真山さん、明日の車を出してくれるのって、プライベートだよね」

「はい、お父様との契約は切れてますから」

「お仕事は大丈夫?」

「まりえさんの契約後、仕事は入れていませんので」

「それなら一日大丈夫?」

「はい、お供いたしますよ」

「嬉しい」

信じられない、真山さんと一日一緒にいられるなんて、夢みたい。

「では明日お迎えにあがります」

俺はまりえさんに会いたかった。

わかってる、まりえさんはお見合いの相手と結婚することは揺るぎない事実だ。

俺なんかが入り込める立場ではないことくらい。

でもまりえさんへの気持ちが抑えきれない。