彼岸花の副総長であることも、告げる稜介。

ついでに、まつりのことも紹介してやっていた。親切だよねえ、稜介。副総長向いてると思うもん。



「……あなたが副なの? 意外ね」



きょとんとして、稜介を見る雫ちゃん。

確かに、まつりのカリスマ性とやらを除くなら、俺らの中で圧倒的に大人しい風貌をしている稜介が副総長であることは珍しいのか。



「稜くんはねー、しっかり者さんなんだよ。

だからぼく、副総長にぴったりだと思うんだ」



咲耶が、雫ちゃんの腕に絡む。

小動物みてぇな咲耶に抱きつかれたところで悪い気はしないらしい雫ちゃんは、そのまま頭を撫でてやっていた。



「そうね。

意外だけど、納得しちゃうくらい合ってると思うわ」



微笑みながら言われたそれこそ、意外だったのか。

何度か瞬きした稜介は、「ありがとう」を返す。その表情がどことなく嬉しそうだし、まつりも口を挟まないだけで俺らのやり取りは見てる。




……もしかして、雫ちゃんって。



「あ、そろそろ2限目終わりそうね。

教室に戻ることにするわ。ありがとう、ここに居ていいって言ってくれて」



「もういっちゃうの?」



咲耶としばらく楽しそうに話していた雫ちゃんが、時計を見て今度こそと席を立つ。

名残惜しそうに引き止められていたけれど、彼女がここに残る気はないようで。「またね」とドアに手をかけた彼女は、何か思い出したように俺を振り返った。



「あ、そうそう。楽しかったから。

残念ながら遊び相手になる気は無いけど、声掛けてくれてありがとう。"優理"」



「え、」



もしかして。

……とんでもなく、彼岸花キラーじゃね?