「おはよ~、雫ちゃん」



「……、お、はよう」



「うわ、いますげえ嫌そうな顔したっしょ?」



翌日。

寝坊とサボり常習犯の俺がめずらしく早起きして学校に来たっていうのに、3組の靴箱前で待ち伏せしていた俺を見た雫ちゃんは、心底嫌そうな顔をしていた。



それでも挨拶は返してくれるあたり、なんだかんだ真面目というか。

さらさらの金髪が、窓から差し込む陽光でまばゆく透ける。



「……まさか、わたしのこと待ってた?」



ありえないと言いたげなその顔の意味を、教えてほしい。

自分に執着されていることが気に食わないのか、本当に俺に興味がないのか。




「なんで"まさか"?

それ以外に俺が早起きしてオンナノコ待つ意味なんてないでしょうに」



……まあ後者だろうけど?

興味がないと返されて以降、いくつか追って送ったメッセージも既読無視。



美高は人数も多いし、遊び相手にする女の子なら、ほかに何人でも見つかるだろうけど。

そういうことされると、俺逆に燃えちゃうんだよねえ。



「だって、興味ないって言ったでしょ?」



「それは俺に対して?

それとも、俺以外の男も含めてぜんぶ?」



「すべてよ。

……って言いたいところだけど、特に距離を詰めてくるあなたをすごく警戒してるわ」



オンナノコの勘って、侮れないな。