越が突然連れてきた、得体の知れない女のことを。

そこまで匿ってくれるのだから、東さんがどれだけ越のことを信頼しているのかがわかる。



「雫ちゃんを連れてきたのが越じゃなかったら。

俺はあのとき、出入りを許すことは絶対にしなかったよ」



いつの日にか言われたその言葉。

わたしを見つけてくれたのが越だったから、わたしはここに通い続けることが出来てる。



あの日。わたしを拾ってくれた、越に。

関東統一のための手助けをして欲しいと言われて、わたしは迷うことなく頷いた。



「ほんまにええんか? 雫ちゃん」



「うん。

みんなが関東統一っていう越の望みを一緒に叶えたいって思うなら、わたしも協力したい」



朝顔と、彼岸花。

これまでずっと並行だった2チームの関係性。




「面白そうだから、ハルはいいと思うよぉ」



「雫ちゃんだけに大変な思いさせらんねえしな。

俺らも、それならできることやりてえよ」



「越が決めたことは絶対曲げへんしなあ。

ええんちゃう? 俺らが歴史をぶっ壊してみんのも」



「……ああ」



「ふふっ。

みんなわたしと同じ意見みたいよ、越」



この幹部候補たちが7代目幹部になることは、ほとんど確定している。

そして、その時には越がトップを担うということも。



「着いてきて。

絶対に、後悔はさせないから」