そう。

美高こと、美山高等学校は、何を隠そう北ではなく南にある。つまり朝顔の本拠地どころか、真反対である彼岸花の敷地内。



「俺ずっと思ってたんだけどさ。

北と南が、このまま並行とかつまんなくない?」



にこり。

越の笑みに、さっきより固まる残りのメンバー。



「俺がもし、次に総長になったら。

そのときの目標は、関東暴走族の統一」



「ま、さか」



「北は南を、南は北をそれなりに認めてる。

だから今まで敵対はしつつも大きく喧嘩になるような問題はお互い起こしてこなかった。……でも俺は、それじゃやっぱりつまんないと思うんだよね。仮にも俺ら、"暴走族"名乗ってんだよ?」



わたしは知っていた。

この人の目標が、関東統一であること。そして。




「彼岸花だってそう馬鹿じゃない。

だから負かせるには、内側から壊すしかない」



「えっちゃん……」



「雫には、それを担ってもらうつもり」



どんな手段を使っても、越は彼岸花を含む南連合を我ら朝顔のものにしたいってこと。

それに何か意味があるのかと問われたら、無いのかもしれないけれど。



「彼岸花の幹部は、ほぼ間違いなく美高に入る。

歴代の幹部全員がそうだから、例外は無いはず」



「でも、雫ちゃんもこの辺に住んでるやろ?

今のまま美高行こうおもたら、毎日都道府県超えて通学せんとあかんくなるで?都内なんて行き先にもよるけど毎朝満員電車やのに」



「雫には南に住んでもらう」