「……雫が悪いとは思ってないよ」



「じゃあなんでイライラしてるん」



「、自分の女の首にキスマークがついてて苛立たないヤツいんの？」



越は、俺から見てもプライドが高い。

それはもうエベレスト級に。それ故に理解はされへんけど、雫ちゃんのことはホンマに好きなんやと思う。本人は隠してるけど俺にはバレバレやで。



「……え、もうそんな感じなん？」



「舘宮とやることやった？って聞いたら否定した」



……ちょっと気まずくてなんか嫌やわ。

そりゃ越と雫ちゃんは長いこと付き合ってるし、雫ちゃんのことよく家に呼んでたのも知ってるんやけど、改めて聞いたら生々しいんちゃう？




「ってか、ようそんなん聞くわ。

ヤッたって言われたらどうするつもりやったん」



「さあ。ロクな女じゃないなって思う」



「なんてこと言うねん」



めちゃくちゃ好きなくせに。

そもそも、そんなことでイライラするんやったら雫ちゃんのこと南になんて行かせんかったらよかったのに。……瑠里から離したかったんやろうけど。



「ほんま、あの子どこでも好かれてんなぁ」



今はそんなことないけど、俺も一時期雫ちゃんのことをいいなと思ってた時期はあるし、気持ちは分かる。

目の前のこの男が、人生を誰にも左右させない越が、雫ちゃんのことを離さないのが何よりの証拠だ。



「そりゃそうでしょ」