「こういうの得意だから大丈夫よ」



「ほんとかよ。

つかオメー、今日まつりのこと誤魔化せたのか?」



「うん。外に出るって言ったら口うるさく誰とどこに行くんだって聞かれるに決まってるでしょ?

でも快斗が今日のことは内緒にって言うから、今日は家で掃除したいから時間がほしいって伝えてあるわよ」



「……バレたらめんどくせーことになりそうだな」



だってそうでも言わなきゃ質問攻めにあうに決まってる。

ただでさえあの人過保護なんだから。まあ、出掛ける時は幹部と一緒に、と言われてるし、その条件は一応満たしているから大目に見て欲しい。



「ま。

……無理だと思って来てっから、無理でも気負いするなよ」



快斗はそう言うけど、すこしでもその不自由さを打開したいからわたしを連れてきたんじゃないの?

そうじゃなかったら、適当にひとりで済ませてしまえばいい用事でしょ?




「一応彼女だって言ってあるからな」



「おかしいわね。なった覚えなんてないんだけど」



「そこは当然のように振る舞えよ」



電車で2駅。そこからふざけたやり取りをして歩いていたら、10分ほどで目的地に到着した。

3階建ての綺麗な一軒家。特に何の変哲もない、ごく普通の一般家庭って感じ。



「……んじゃ、行くか」



ピンポーン、と。

チャイムを一度鳴らし、それを待つことなく玄関ドアを開ける快斗。……いまさらだけど、呼び出されてここに帰ってくるってことは、普段はここに住んでないのよね?



「おかえり、快斗。

……こんにちは。快斗から話は伺っています」