すぐりんが稜くんとまつりんに謝ると、まつりんも「悪かった」と返して、一旦落ち着いたはずだったのだけれど。

全員が気になっているのはそこではなくて。



「……で、お前は何なんだよ~。

雫ちゃんの首にわざわざキスマークとか、」



「別に。あいつが言ってた通り何もねーっての。

親から呼び出しくらってたやつ、先延ばしにしてたからあいつのこと"彼女"っつって親に会わせただけだよ」



「なんで黙ってたのー?」



「は?

ンなもん、"彼女"っつって連れてくんだからお前らに言えばめんどくさいことになるのわかってんじゃねーか。そもそも言うつもりもなかったし」



「……それで、何か変わった?」



稜くんがすこし落ち着いた様子で、かいくんに尋ねる。

親というものに何かしら弊害を感じてるからこそ、その気持ちはよくわかるんだよね、稜くんもぼくも。




「信じらんねーぐらい親に気に入られて。

……上手いこと言いくるめて、俺のことまでちゃんと庇ってやがったよ。そんなつもりで付き合わせたわけじゃねーのに」



「じゃあ、」



「成績に問題がなければ大目に見るってよ」



その一言で、稜くんはホッとしたみたいだった。

美高を選んだときからかいくんは両親にかなり色々言われてたみたいだけど、その両親さえしずくんは丸く収めてしまったらしい。



「で、しっかり惚れてんじゃねえかよ。てめこら」



「いっ…! は!?

優理、テメーこそ何遊び相手にしようとして本気になってんだよ……! 一生遊んでろよ!」



「先に好きになったの俺だし?

んなことお前に言われたくないんだけど?」