まつりの圧倒的なカリスマ性は、そういう場面でこそ発揮される。

稜くんだって、咲ちゃんだって、出逢えたことに後悔はないだろう。……じゃなきゃ、あんな風に仲良く過ごすことなんてないだろうし。



「あなたが7代目に選ばれたのは、

そういうみんなからの信頼があってこそ、でしょ?」



わたしの言葉に、まつりは一瞬黙って。

それから「お前、」と口を開いたかと思えば。



「本当にいい女だな」



「っ……なんでいまそれ?」



「思ったから言っただけだ」



今日も息を呑むくらいに美しく。

笑みを浮かべて「雫」とわたしを呼ぶまつり。そこに色気を使ってくる意味は何なんだろう。しまっておいた方がいいと思うの、その色気。




「はやく俺のもんになれよ」



「っ、な、りませんけど」



「ふぅん? まあ、それはそれで燃えるけど、」



あ、あれ? なんか、近くない?

さっき離れてくれたはずなのに、また近くない?



「──あんまり待たせると、俺は噛み付くぞ」



「っちょ、待っ……んんっ!」



塞がれたくちびる。突き放そうとした手を逆に掴まれ、逃げることも許されなくなった深いキスの中で。

視界の端にうつったふたり分のグラスは、見ないふりをしておくことに留めた。