明日は予定が無いから一緒に行きたかったなぁ、なんて。

思うけれど、わたしがひとりで好きに外出するわけにもいかないし、かといって誰かを連れて行くこともできないわけで。



『うんっ。じゃあハル、そろそろ寝るぅ』



「ふふっ、おやすみハルちゃん」



『おやすみなさぁい』



甘くてねむそうな、ハルちゃんの声。

きっと電話を切ったらすぐに寝てしまうんだろう。



わたしよりも、よっぽど可愛げがあると思う。



通話が切れて、部屋の中の静けさを唐突に思い出す。

寂しくはないのに、時々じりじりと何かが迫りくるようなこの感覚は一体何なんだろう。




「っわ、もしもし?」



しばらくそのままボーッとしていたら、不意に手の中のスマホが震えて驚く。相手は、『舘宮 まつり』。

耳に当てれば、電話をかけてきたくせに『寝なくていいのか?』なんて聞いてくる彼。



「じゃあ、寝るから切ってもいい?」



『ツレねえこと言うなよ。

……さっきまで、誰と話してたんだ?』



「え? ああ、友達だけど、」



『……へえ』



さっきまで、ってことは、ハルちゃんと話している間に電話を掛けてきていたらしい。

電話を終わらせてすぐ画面をスリープにしてしまったから、着信履歴にも気がつかなかった。