雫ちゃんに言いつけていいかな。

……でも悲しませたくないなぁ。ハル、雫ちゃんがえっちゃんと一緒にいて幸せそうな姿見るの好きだし。



「……すごいムカつくんだけどぉ」



頭の上に手を伸ばし、前髪のピンをとめ直す。

雫ちゃんから前にもらった、プレゼント。



こんなハルのことを受け入れてくれる、数少ない友達のひとり。

大好きな大好きな雫ちゃんを泣かせるようなことがあるなら、ハルほんとに許さないからね?



「ハル」



「なーに、静」



雫ちゃんは雫ちゃんで、南で上手くやってるらしいけど。

……でも本当の居場所は、朝顔なんだから。




「"あまり口出すな"」



「………」



「越からの伝言だ」



「……、今のえっちゃん、過去一ウザいね」



雫ちゃんが帰ってくる居場所を作っておかなきゃいけないはずなのに、ほかの女の子に気を取られてるえっちゃんなんて嫌いだ。

それなら別れてくれた方が何百倍もマシ。



「まあいいや、」



雫ちゃんには、ハルがいるから。

別にほかの男が嫌われようが、別れようが。──ハルがそばにいてあげるから、なんの問題もないもんね。