ハルたちの、朝顔の、お姫様。

憎たらしいことにえっちゃんが王子だけど、ふたりがお似合いなことは変わらない。



……でもハルが言いたいのは、そんなことじゃない。



「ケンちゃん」



「ん?」



「アレなにぃ?」



「……なんだろうなぁ」



朝顔の姫は、えっちゃんの彼女の雫ちゃん。

それは全員共通の認識のはずなのに、最近朝顔のたまり場に出入りしてる女がいる。幹部室にはえっちゃんが入れてないけど、下のフロアにはほぼ毎日来てる。




えっちゃんにベタベタくっついて、離れない女。

檜山(ひやま) 瑠里香(るりか)。高校は別だけど、鼓曰く、えっちゃんのもうひとりの"幼なじみ"。



えー。ちょっとブスすぎない?

そこらの女よりかは可愛いかもしんないけど、雫ちゃんを知ってるハルからすれば、瑠里香はだいぶブスだと思う。



「……なんでえっちゃんはあの女入れてんのぉ?」



雫ちゃんが南に行って、まだ1ヶ月も経ってない。

なのにほかの女?



でもえっちゃんの口ぶりからして雫ちゃんと別れてるわけでもないし、浮ついた気持ちもなさそう。

だからこそ余計に倉庫に女を出入りさせてるのも、ベタベタを拒まないのも意味がわからない。



「幼なじみにも、色々あるんじゃね?」



「ふぅん。……キッモ」