その発言の全てが気になるなんて、どうかしてる。

振り回されねーように、と思えば思うほど、振り回されてるような気がしてる。



「いや、3組まで送ってやるよ。

俺下の自販まで飲みもん買いに行くつもりだし」



「あら、それじゃあお願いしようかしら」



未成年が校内喫煙なんてマナーもクソもねーけど、一応マナーとして持ってるポケット灰皿。

吸殻を収めて雫と図書室を出ると同時に、3限終わりのチャイムが校内に鳴り響いた。



「ああ、そうだ。

来週の稜くんの誕生日プレゼントだけど、快斗が提案してくれたカフェのギフト券にしようと思うの」



「……すげー適当に言ったやつな」



アイツ、コーヒーとか好きだし。

でもわざわざカフェとか喫茶店のコーヒーって毎日買うには高ぇから、そういうの貰うぐらいじゃねーとなかなか行かないだろ。




「でもほら、出会って間もないわたしからあまりに高級品渡したって遠慮しちゃうだろうし。

丁度いいと思ったのよ。ありがとう」



「おー」



「じゃあ、またあとでね」



ひらり。

手を振って教室に入っていく雫。中で双治と話したかと思えば二人揃って俺の方を振り返るから、俺にここまで送ってもらったと伝えてるんだろう。



「……、」



ほかの生徒に気づかれてもダルいからと、そのまま足早に廊下を去る。

それからポケットに突っ込んであったスマホに触れれば、大量の着信履歴を見て、思わずため息をつく。



だから言ったじゃねーか。

例え血の繋がりがある人間だろうと、分かり合えねーもんは一生分かり合えねーんだよ。