一緒に乗り越えたい。


一度は過去に引き裂かれそうになったけど、乗り越えられたから今がある。


きっと、二人でならお母さんの呪縛も乗り越えられる。


「ありがとな。なんとなく、乗り越えれそうな気がしてきた」 


千隼くんの顔に穏やかな表情が戻ってきた。


それが嬉しくてもう一度抱きしめる。


「今日の千紘、なんか積極的だな」


耳元で囁かれ、ハッとする。


千隼くんの心の傷を癒そうと必死になってただけだけど、改めて考えてみたら私…大好きって連呼したり、抱きしめたり、普段しないことばかりしちゃってた…。


自分の行動に気がつき、全身がカッと熱くなる。


「耳赤い」


「…だって…」


もう…私何してるんだろう…。


恥ずかしい…。


「こっち向いて」


「嫌だ」


「いいから」


強引に目線を合わせられ、さらに顔が赤くなるのがわかった。


そして、柔らかなキスが降ってきた。


それはまるで、約束を果たすという誓いのキスだった。