「…私、甲子園を諦めたくないです。どうしても甲子園に行きたい。そのために頑張ってきた皆を知ってるから…。こんな意味の分からないことでバラバラになるのが悲しいです…」


「……そうだね」


真子ちゃんの気持ちは痛いほどわかる。


私だって諦めたくない。


皆で甲子園に行きたい。


けど…千隼くんが…。


「千紘さんは、甲子園行きたくないんですか?」


「…行きたいよ。行きたいけど…」


「じゃあ諦めないでください。お願いします。望月さんを説得してください」


深々と頭を下げられ、返す言葉に困る。


真子ちゃんは本気だ。


本気でまだ甲子園を目指している。


一ミリも諦めていない。


じゃあ私は…?


どうせ千隼は帰ってこない、千隼がいなかったら無理だ。


そう思って諦めてるんじゃない…?


「お前らアイツに期待してんのかよ。バカじゃねーの」


水分補給に来た翔吾が顔をしかめて言った。