言葉にするのが下手くそで、伝わった自信はないけど、千隼くんはにっこりと笑ってくれた。


その笑顔を見て、心がじんわりと温まる。


「前に進めそうならよかった」


千隼くんは微笑みを見せてコーヒーを一気に飲み干した。


「俺は、いつでも待ってるよ。だから、もし千紘が完全に吹っ切れたら…、その時は付き合ってほしい」


トクン…トクン……


あまりに真っ直ぐな瞳に、鼓動が激しくなる。


「…今すぐじゃなくていいからさ…?」


でもすぐに不安そうに目を泳がせる千隼くんを見ると、なんだか微笑ましかった。


「ふふ…。ありがとね、千隼くん」


私のペースに付き合ってくれて、無理に急かさない優しさに感謝しかない。


もう、過去は振り返らない。


私は、前を向いて歩いていくんだ。