「かわいい奴だなホントに」


フッと笑ってニヤニヤしている千隼くん。


「もうっ、からかわないでよね」


ペチっと千隼くんの肩を叩いて向かい側のソファに移動する。


「ウヴゥン」


談話室の入口から咳払いが聞こえ、パッと振り向くと翔吾だった。


「公共の場でイチャつくなよ」


「イチャついてないからっ」


翔吾は私の反論を無視して千隼くんに何かをフワッと投げた。


「他校のバレー部もここで合宿してるだろ?そのバレー部の1年生から。相変わらずモテますねぇ」


ファンレターのようだ。


ファンレターというよりラブレターか…。


「中にSNSのID書いてるからフォローしてほしいって言ってたぞ。してやれば?けっこー可愛かった」


「ふーん。気が向いたらな」


千隼くんはあまり興味がないのか、手紙を開くこともせずテレビをつける。


「千紘もトロトロしてたら全国の女の子に千隼のこと奪われっぞ〜」


翔吾はテキトーなことを言って談話室を去っていく。