入学当初からサッカー部のエースとして、人気があった先輩。
そんな先輩が事故にあい、サッカーを失いそれでも明るく笑うその姿に皆どう声をかけて良いのかわからなかった。
それでも三宅先輩は、同級生になったサッカー部の後輩達に今までどおり話しかけ、自ら積極的にクラスの輪に入っていった。
すると、周りも次第に「三宅くん」「巧くん」と三宅先輩の周りに集まりはじめた。
きっと、先輩が人気だったのはサッカー部のエースってだけじゃなくて、その人柄も含めてのことだろう。
「奈子、帰ろうぜ」
放課後、ホームルームが終わると当たり前のように三宅先輩が私に声をかけてくる。
私は特に返事をせず、先輩と一緒に教室を出た。
背中には先輩を好きな女の子達から視線をヒシヒシと感じる。
羨ましがるような関係ではないのに。
先輩の目的はうちにいるお兄ちゃん。
元々、同級生で同じサッカー部だった2人は環境が変わった今でも変わらず仲が良い。



