ようやく長話が終わったかと思うと、変わって学年主任の先生が話を始める。



まだ終わらないのかな……なんか……足に上手く力が入らない。


目の前がチカチカとし、視線を落とすと足元が二重に見える。


その瞬間、まるで力が抜けるようその場にしゃがみこんだ。

足だけでは上手く身体を支えられなくて、手を地面につける。


「奈子ちゃん!?」

後ろに並んでいた子は突然しゃがみこんだ私に驚き、大きな声を上げた。

その声に周りの生徒もざわつき始める。

早く立ち上がりたいのに身体は言うことを聞かない。



そんな時、「ごめん、どいて」と聞き馴染みのある声が後ろの方から聞こえた。


その声の主は私の隣にしゃがみ込むとそっと肩に手を添える。


「奈子。大丈夫か?」


「三宅……先輩。……大丈夫です。ただの立ちくらみです」

地面に向けていた視線をゆっくりと先輩方へと移す。

「顔色悪いぞ。早く保健室行こう」


そう言うと先輩は私の前にかがみ、低い姿勢を取った。

「ほら、乗って」

「先輩、大袈裟ですって」

「まだ立てないほど辛いやつが何言ってんだよ。乗らないなら担ぐ」




「せ、先輩だめです脚痛めちゃいますから」


「黙って」


先輩が無理やり私を担ごうとした時、
「俺が連れていきますよ」頭上からそんな声が降ってきた。