浪川くんとは3年間クラスは別。


今年、同じ美化委員になるまで接点と呼べるようなものは何一つなかった。


そんな浪川くんに呼び出されたのは一昨日の放課後。

掃除道具をしまってる時だった。

体育館裏というベタな場所に連れてこられても、それが告白だなんて思わなかった。


なぜなら私と浪川くんが会話をしたのは、ほんの僅か数回程度だからだ。

体育館からはボールを付くような音と、バッシュがキュッキュと擦れる音が聞こえる。


静寂とは程遠いこの場所で、一体何を話すのだろう。



ある程度歩き、人気がないことを確認するとなんの前触れもなしに、

「古谷のこと好きなんだけど」

浪川くんは表情一つ変えずそう言いった。



「えっ、」


何かの聞き間違いだろうか?

私には浪川くんが私のことを好きって言ったように聞こえたんだけど。

……それとも、何かの冗談?

いや、多分それはない。

浪川くんはわざわざ人を呼び出して、こういった類の冗談は言わない。……と思う。




「聞いてた?」

黙り込む私に浪川くんがそう問いかける。

「き、聞いてたよ!ありがとう。だけどなんで私なんか……」


自分で言うにはあまりにも悲しいが、私にはこれといって他者より優れている部分などない。