本当は学校にも行きたくなかった。


だけど、先輩に心配をかけてはいけない。
その思いだけで毎日学校へと通った。



そして、私は2年に進級した。



それから数ヶ月の月日が立ち、事故後のリハビリを終えた先輩はうちに来るなりいつもと変わらない様子で私の名前を呼んだ。

「奈子。久しぶり」と。


ズボンの隙間からは大きな傷痕が見える。

唇をギュッと噛み締めてないと今にも涙が溢れ出しそうな中、先輩は「俺ら来年から同級生だって」そう言って笑った。


先輩とお兄ちゃんがどういった会話をしたのかはわからない。


だけど、2人は以前と変わらない様子でくだらないことを言い笑い合っていた。


それだけが私にとって唯一の救いだった。


3年になると先輩と私は同じ学年、同じクラスになり、同じ青色のネクタイを着けていた。

今までと同じとはいかなくても、少しずつ私達の間には会話が戻る。

その少し後だった。


先輩が加恋先輩と別れたと知ったのは。

加恋先輩に新しい彼氏がいると噂になり、その真相を聞いた子が言うには先輩とは事故後すぐに別れたらしい。