「初めまして、僕は有坂 虹季と言います」
両親の知り合いという男性にお線香を上げさせてほしいと言われ彼を家に上がってもらうことにした。
「突然きてごめんね。貴仁さんと結花さんが亡くなったって聞いてやって来たんだ」
「そう、なんですね。……ありがとうございます」
「あ、信じてない? 証拠って言ったらなんだけど、貴仁さんとの手紙に三人で撮った写真もあるよ。あとは……あ、これ成人式に貰った二人からの手紙も」
確かにお父さんとお母さんの字で、写真も少し若いが二人だ。でもこの人と両親が知り合いなんだろう?
「ご両親が施設で過ごしていたこと知ってるんだよね? 自分も同じ施設出身でね、俺の姉ちゃん兄ちゃんみたいなものだな」
「家族、いたんですね……知らなかったです」
「まぁ、知らなくても仕方ないよ。彼らも話してなかったんだから」
そう言うと有坂さんは一枚の封筒を差し出した。