倉庫から出てきた男たちは俺の顔を知っていたのか、目が合うとペコリと一礼してきた。そして、今来た倉庫の入り口を無言で指し示す。

 入れ、って事か……

 しかし俺と幹部の三人が動き出すと、男たちは慌てて止める様に手を上げた。


「――二人だけにしてください! 総長と副総長の二人だけで。こちらも人数はあまり多くありませんから……」


 ……人数少なくてもそっちはヤクザと銃があるだろうが。ふざけた事言いやがって。

 だけど人質を取られている。従うしかない。


「分かった。風吹、響生、お前らはここにいろ。後は頼んだぞ」

「は~い! 凪さん、いってらっしゃ~い!」

「総長! 副総長! ご武運を……!」


 二人を残すと、弘人と二人で倉庫の入り口をくぐった。

 中は外とあまり変わらないくらい薄暗かった。でも物の位置や近くの人の顔が確認できるくらいは明かりがある。

 がらんと何も無く広い倉庫。中央であろう付近に人が集まっているのが見える。そこは簡易的なサーチライトか何かで少し他より明るい。

 弘人と一度視線を合わせ頷きあうと、俺たちはそこへ歩み寄った。

 近づくにつれ、だんだんとそこにいる人間の顔が見えてくる。そして灯の中心に、藍乃と亜賀座が座らされていた。