俺は弘人の肩の向こうに、風吹と響生に守られている藍乃と奈央の姿を見ていた。

 今、抗争を起こしたら……もしかしたら怪我をさせてしまうかもしれない。何より、今ですら怯えている藍乃たちを、更に怯えさせる事になってしまう。


「――仕方ない、お前ら動くんじゃねえぞ!」


 周りの配下にそう支持を出すと、亜賀座はにやにやと笑いながらその間を歩いてゆく。

 人が途切れるその瞬間に振り返ると、片手を上に伸ばし大きく振った。


「――またね、不知火の総長さん!」


 最後に、煽るだけ煽って、亜賀座は去って行った。