「今日はちょっと挨拶に来ただけだったんだけど……女の子たちに怖い思いをさせちゃったみたいで、ごめんね」
「……ふざけた事ぬかしやがって。今ここで決着をつけてやってもいいんだぜ?」
亜賀座は俺の挑発に、わざとゆっくり辺りを見回した。奴を取り囲んでいるのは、今にも飛び掛かりそうな不知火の配下たち。
奴は視線をまた俺に戻す。
「それも面白そうだけど、止めておくよ。目をギラギラさせてる大勢を相手にするには、護衛二人と僕の三人じゃ分が悪そうだ」
亜賀座が一歩踏み出すと、周りの者たちがザワリと戦闘態勢を取り始める。それを一瞥し、今までより少し大きな声で言った。
「今ここで僕に手を出すのは止めた方がいい。あと十五分ぐらいかな――すぐそばで雲竜が待機してるんだ。僕が帰らないと動き出す。それって多分、凄く面倒な事になるよ」
「おもしれえ! やってやらあ!!」
「――止めとけ、凪!」
煽られた勢いで俺もついそう口走ってしまったが、その肩を弘人が掴んだ。
「今はこちらも都合が悪い……仕切り直しだ」
弘人の言葉に我に返る。
確かに、今は人数はそこそこ揃っているが、陣形はむちゃくちゃだ。勝てなくはないだろうが、こっちの痛手も大きくなるだろう。それに――