没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~

そして二十時過ぎてから始まったこの舞踏会には、五百人ほどの貴族たちと社会的地位の高い平民が招待されている。

その中にルネとブルノとロイが交ざっているのは、オデットが招待してくれたからだ。

(できればオデットのウエディングドレス姿も見たかったけど、大聖堂に入れる人数は決まってるっていうし仕方ないわね。ま、オデットが幸せならなんでもいいわ)

ルネの着ている水色のドレスやジュエリーはオデットがプレゼントしてくれたもので、隣にいるロイの赤い蝶ネクタイつきの黒い夜会服もそうである。

舞踏会が始まって一時間ほどが経ち、会場の賑やかさは最高潮。

宮廷楽団の奏でるワルツにのってペアを組んだ貴族たちが優雅に舞っている。

煌びやかで色とりどりの女性たちのドレスはまるで花園か、それとも宝石箱か。

(場違いよね、ほんと)

ただのパン屋の娘であるルネは自嘲気味に笑ってシャンパングラスを傾け、フルーツをつまむ。

広々としたホールの入口に近い側には立食スペースが設けられていて、見たこともないご馳走が長テーブルにずらりと並んでいた。