没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~

もじもじしながら順序が違うと話せば、ジェラールがハハと笑う。

「俺たちの関係が婚約発表前に周知されてしまったな。だが、それも悪くない。ほら、見てごらん。皆はもうオデットを受け入れている」

ジェラールが視線を横に振り、オデットもつられてホールを見回す。

国王はデザートを食べながら貴族たちと歓談している。

「やっと息子の妃が決まった。オデット嬢は気立てがよく純粋で正直な令嬢だ。あのような娘に育てたログストン伯爵に礼状を書くとしよう」

などと言って笑っていた。

他の貴族たちも食事を再開させつつ、オデットの話題で盛り上がっている。

「いやはや驚きましたな。オデット嬢は魔具のブレスレットを使っても、お体に影響がないらしい」

「不思議なお嬢様ですわ。そういえばポワソンが出された時に前世は日本人だと話されていましたのよ」

「誠ですか! 異世界の日本からいらっしゃったということは、オデット嬢こそ聖女様では?」

(ええっ? 日本人だったのは前世のことで、癒しの力もないわ。聖女は召喚されて現れるものでしょう? 私は違うのに)

「あの、お話し中にすみません。私は聖女では――」