没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~

騙されたと知って激怒した国王は、壇上で青ざめているインペラ宰相を呼びつけた。

慌ててステージを下りた宰相は、片膝をついて頭を下げる。

「忠誠心のあるような素振りを見せてももう遅いぞ。わしはそなたを信用し重用してきたというのに、なにゆえこのような真似をした」

インペラ宰相は国王が即位して三十年ほど、誰より近くで政治の補佐をしてきた右腕だ。

最も信頼していた臣下に裏切られた国王の怒りと悲しみは、察するに余りある。

宰相は視線を泳がせ言い逃れの策を練っているように見えるが、ジェラールが弁明など不要とばかりに代わって答える。

「先ほども皆さんにご説明しましたが、レオポルド派から妃を出さないようにするためでしょう」

レオポルド派の貴族が政界に戻れば旨味が減る。

自分の利権を守るために企てたに違いない。

国王は大きく息をつき、怒りを抑えて冷静になろうとしているようだ。

「インペラ宰相、なにか申し開きがあるなら言ってみよ」

しかし宰相は首を深く垂れるのみで言葉がない。

それが答えと受け取った国王が、落ち着いた声で沙汰をくだす。