没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~

それが謎解きをする際の彼の癖だとオデットは知っており、このような状況でもほんのりと頬を染めて頼もしい彼を見つめる。

「他の仮説とは、オデット嬢と私との婚姻を阻止したい誰かが秘術を用いて本物の聖女を降臨させたというものです。それを調べるために私はリバルベスタ教会を訪ねました」

オデットは召喚術が書かれた本や、訪問者記録について思い出していた。

オリオン大学のカロジオ教授が研究のためと言ってバロ司教から文献を借り、召喚術を復活させようと試みた。

けれども術式が書かれたページは黒く塗りつぶされて読めないとわかり、それゆえたった数日で本を返却したのではないか、というのがジェラールの考えだ。

「できることなら本物の聖女を降臨させたかったのでしょう。しかしながら不可能だとわかったので、偽聖女を作り出したのです。ちなみにカロジオ教授が黒幕ではありません。彼は失職を恐れて命令に従っただけですから」

カロジオ教授をクビにできる者は、オリオン大学を経営している者だ。

それが誰かをジェラールが口にせずとも、貴族たちは気づいた様子である。