没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~

オデットの手を振り払ったサラは、ブレスレットを隠すように胸に抱きしめる。

「サラ様、外してください。これ以上は体がもちません」

ブレスレットを預かろうと伸ばしたオデットの手を、インペラ宰相が手荒に掴んで引っ張り立たせた。

「痛っ……」

「聖女様になにをする気だ。お前ほどしつけのなっていない娘は初めて見たぞ!」

「すみません。でもそのブレスレットは駄目なんです。使い続ければサラ様のお命が――」

「黙らんか!」

怒鳴られても必死にブレスレットの危険性を訴えていたら、ついには国王まで激怒させてしまった。

「聖女の崇高な力にケチをつける気か。無礼な娘よ、今すぐ退場しろ。王城への立ち入りも禁ずるゆえ、二度と顔を見せるな!」

(そんな……)

ジェラールの花嫁として認めてもらうどころか登城禁止を言い渡され、オデットは青ざめた。

会場内もオデットへの非難の声であふれているが、それを破ったのはジェラールだ。

颯爽とステージに上がった彼は、オデットを守るように片腕に抱いた。