没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~

「サラ様、桃の節句と端午の節句が交ざっていますよ。雛祭りは三月三日で雛人形を飾るんです。サラ様のいた日本と私の前世は、時代だけじゃなくて世界そのものが違うのでしょうか? 日本人は髪だけでなく瞳も黒い人が多いんですけど、サラ様は目の色もお顔立ちも日本人らしさがないので不思議に思っていたんです。お名前も、江戸時代の女性には珍しい気がします」

〝サヨ〟という名前に似ているが、〝サラ〟はいささか現代風で江戸時代の女性らしさを感じない。

オデットは純粋に疑問を口にしただけなのだが、サラは青ざめて返事ができずにいる。

料理はスープが終わり、魚料理が出されたところだが、貴族たちはカトラリーを持つのを忘れて戸惑っている。

ギブソン伯爵に確かめるまでもなく、皆が疑わしげにサラを見ていた。

とどめとばかりにジェラールが口を開いたが、インペラ宰相が急にパンと手を叩き、サラにとって不利な話の流れを変えようとする。

「おそらく召喚された時の衝撃で記憶が錯綜しているのではございませんか。サラ様の癒しのお力こそ聖女の証拠。後ほど余興として披露するつもりでしたが、今からご覧に入れましょう」