没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~

「そうそう、聖女サヨ様はキモノという奇妙な服で現れたと書かれてありました。召喚される前は江戸の城下町で暮らしていたとお話しになったとか。ちょんまげについては、男性の髪形だという説明文があったと記憶しています」

「思い出してくださって感謝します。オデット嬢の言った通りですね」

ジェラールが皆に意見を求めるような視線を振ったら、貴族たちは隣同士でヒソヒソと話しだした。

「ログストン家の娘の、前世が日本人という話はまことのようですな」

「いやはや不思議なこともあるものです。聖女様はなぜお間違えに? まさか――」

疑われているのを察したサラが慌てて口を開く。

「キモノです。そう言ったつもりだったんですけど言い間違えてしまったんです。ごめんなさい。オデットさんが言ったように私は江戸から参りました。江戸には色んな祝賀行事があるんですよ。新年はお正月といって餅つきをするんです。五月は――」

五月には雛祭りがあり、鯉のぼりを飾ってお祝いしたとサラは説明し、オデットがまた首を傾げる。