没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~

日本についてなぜオデットに指摘されなければいけないのかと言いたげに、サラが綺麗な眉をひそめた。

非難めいた視線を向けられたオデットは、慌てて理由をつけたす。

「私も日本人だったんです。召喚されたサラ様とは違い、前世ですが。同郷なのを嬉しく思っていたんですけど、時代が違うようですね。サラ様は江戸時代の方ですか? もっと前でしょうか?」

「エド……?」

サラが困り顔を左隣に向けると、インペラ宰相が険しい面持ちでオデットに注意する。

「今はサラ様がご発言なさっておいでですぞ。前世が日本人? そのようなでまかせを言って邪魔をするとは、ログストン伯爵は娘のしつけが苦手なようですな」

「す、すみません」

オデットは身を縮こまらせたが、代わりにジェラールが反論してくれる。

「なぜ嘘だと決めつけるのですか。ギブソン伯爵にお尋ねします。あなたがお読みになった文献に日本人の特徴についてどのように書かれていましたか?」

「たしか――」

ギブソン伯爵は腕組みをしてしばし考えに沈み、それからポンと手のひらを打った。